クレジットカード会社の事業はいくつかの法律によって規制を受けている。事業別に規制を受ける場合もあるが、クレジットカード会社全体にかかわる規制を行っている法律もある。クレジットカード会員が直接規制の対象となることはないが、こうした法的な規制の知識を身に付けておくことはクレジットカードの申込用するうえで役に立つ。
貸金業法
貸金業法ではクレジットカードのキャッシングや融資事業などお金の貸付に関する規制を行っている。最もクレジットカード会員に影響があるのは貸付利息の上限金利だ。関連する出資法や利息制限法によって規制されている上限金利は、2010年6月以降完全に20%を超える金利設定が禁止される。
また同じ時期までには貸付金額の上限も規制され、年収の1/3以上の貸付を受けることができなくなる。これには多重債務者の発生を防止する目的がある。貸金業法が改正される前は利息制限法と出資法の上限金利が違うことが原因で、グレーゾーン金利と呼ばれる金利が存在していたが、今後は完全に撤廃される。
貸金業法では金利以外でも厳しい規制がある。夜間や早朝、勤務先への督促禁止など督促業務に対する規制や広告宣伝に関する規制もあり、違反した場合には業務停止や刑事罰もある厳しい法律だ。
割賦販売法
割賦販売法はクレジットカードでのショッピングやショッピングクレジットを規制している法律。2008年6月に改正され2010年12月には改正割賦販売法が完全施行される。改正内容で最もクレジットカード会員に影響があるのはクレジットカード審査に関する規制だ。それまで審査に関してはまったく規制がなかったといってもいいが、今回の改正ではクレジットカードの利用枠に上限が設けられることになった。年収から生活維持費を引いた金額が上限となるのだ。生活維持費の目安も定められているが、世帯数や持ち家の有無によって90万円から240万円に分けられる。年収400万円で生活維持費が240万と判断されるとクレジットカード利用枠は総額で160万円までとなる。もちろん他社のクレジットカード利用枠も含めた上限だ。
年収の判断は所得証明書などを提出する必要はなく、申込自己申告でいいことになっているため、現在の審査方法で対応できる。今後は年収に合わせてクレジットカードを選んで持つ必要があり、利用していないクレジットカードは解約する必要があるだろう。利用していなくてもカード利用枠も上限の限度額を算出する計算に含まれるからだ。
個人情報保護法
個人情報保護法では個人情報の収集や利用、保管、提供などに関して規制を行っている。クレジットカード会社も規制の対象で個人情報はすべて本人の承諾のもとに収集・利用・提供しなければいけない。具体的にはクレジットカード申込書やクレジットカード会員規約で個人情報の取り扱いに関する条項を設けて本人の承諾を得ている。この承諾を拒否すれば現実的にはクレジットカードを発行できない。
クレジットカード会社は個人情報の漏洩を防止するためにさまざまな方策をとっている。クレジットカード伝票にサイン以外の個人情報を記載することを加盟店に禁じたり、CAT端末機から排出される伝票にはカード番号を記載しなかったりという保全を行っている。クレジットカード会員に送付される請求書にも現在ではクレジットカード番号は記載されていない。クレジットカード番号は個人情報の中でも漏洩した場合には悪用される可能性が高い情報だ。そのためクレジットカード番号の管理はカード会員自身も厳重に行う必要がある。
犯罪による収益の移転防止に関する法律
本人確認法と呼ばれていた法律が廃止になり、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が成立したが、本人確認法で行われていた規制はそのまま引き継がれている。本人確認法では銀行口座などを開設する場合は本人であることを証明する書類の提出を義務付けている。犯罪によって得た金銭のロンダリング(洗浄)を防止したり、テロに利用されたりすることを防ぐためだ。対象となる業種は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」によって拡大されたが、本人確認法のときからクレジットカード会社などの貸金業者も規制対象となっている。
そのためクレジットカード申し込みでは身分証明書の写しを提出する必要がある。しかしオンライン申し込みでは身分証明書の提出を省略できる場合もある。その場合は本人限定配達郵便でクレジットカードが発送され、郵便局に身分証明書を提示してクレジットカードを受け取ることになる。 クレジットカード会社にとっては身分証明書の提出は審査する上でも役に立つ。第三者になりすましてクレジットカードを申込が難しくなるからだ。